減量について | ![]() |

体重の減らし方
3つの方法があります。『水分除去(脱水)』、『除脂肪体重(筋肉)の減少』、『脂肪の減少』がそれです。
水分除去・・・一時的に減らす場合は有効ですが、2日が限度と言われています。 クラス別の競技等での検量前日に。
除脂肪体重の減少・・・これは体力の低下やスタイルの崩れ・基礎代謝の低下を 招くので避けなければなりません。
脂肪の減少・・・もちろんこれが一番健康的だと言えます。
脂肪の減らし方



エネルギー収支
消費カロリーとは
基礎代謝とは

下記のそれぞれの基準値に体重を掛け合わせると基礎代謝量が求められます。 年齢 男性 女性
18~29歳 24 23.6
30~49歳 22.3 21.7
50~69歳 21.5 20.7
70~ 歳 21.5 20.7
エネルギー摂取量(摂取カロリー)の減らし方
原則 『食べる量のコントロール=体重のコントロール』 本来はよく食べてよく動き、体重をコントロールすることが望ましいわけですが、十分な活動時間が取れないというのが現状だと思います。そのため日々の体重測定の結果をもとにエネルギー源となる三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の量をコントロールしなくてはなりません。
『摂取エネルギーは減らしても栄養素のバランスはくずさない』 1日の食事摂取基準
・炭水化物(糖質)の目標量・・・総摂取カロリーの50~70%未満 ごはん、パン、うどん、そばなど生きるためのエネルギー源なのでしっかり食べます。
しかし≪菓子パンはあくまで菓子である≫ことに注意してください。
・たんぱく質の目標量・・・総摂取カロリーの20%未満 肉類、魚類、豆(納豆、豆腐)、卵類、乳製品などの食品はビタミン・ミネラルを多く含むために欠かせませんが、食べ過ぎると脂肪を多く摂ることになります。特に肉に関してはトリのささみ、牛・豚ヒレを除いてグラム当たりの含有量は脂質の方が多く、肉=脂質と考えた方がよいでしょう。
・脂質の目標量・・・総摂取カロリーの20~30%未満 体重減少が必要な場合には調理に使う油は控えるようにします。取り除くことができない食品に含まれている油はそのまま摂るようにします。 ・揚げ物は1日に1回まで ・ルーものは油なので週1回まで
安全かつ効果的なダイエットをすすめるにあたっては、まず摂取カロリーを制限する中で五大栄養素(糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)をはじめ、食物繊維・水分の摂り方について基本的な知識をマスターしておく必要があります。
・水・・・私たちの水の出納は1日に約2.2リットルです。つまり、代謝水(尿・大便・不感蒸泄)として排出した分を食物水分・飲料水で補わなければなりません。 また、運動前の体重を基本とし、運動後の測定で減っている分は補う必要があります。
食べ方の工夫
アトキンスダイエットのように短期的に炭水化物を制限する方法もありますが、 長期的に見れば、脂質を制限する方法と効果は変わらないことが分かっています。 これまでの減量についてを踏まえた上で、
1.1日摂取カロリー量は一定にして食事の回数を増やす(小分けに食べる)
2.食事の後の行動を考えボリュームをコントロールする(夜は寝るだけなので少なくする)
3.早食いは過食のもとであり、カロリーオーバーになってしまうのでゆっくり咀嚼して食べる
4.水分を多く含み、かさのある食品を選ぶ(胃からの排出速度を考慮しエネルギー密度の低い食品を選ぶ)
5.まず野菜から食べる(次にタンパク質、炭水化物、脂質と概ね決める)
ダイエット~血糖のコントロール
血圧や血糖コントロールに関して言えば運動療法単独よりも食事療法単独あるいは食事と運動の併用でさらに大きな体重減少を得た場合の方が、血圧や血糖コントロールの改善の程度はより大きいことがわかっています。 また、中性脂肪(トリグリセリド)、HDLコレステロール、インスリン感受性の改善は体重減少率に関連しており、減量手段による差はないとのことですが、やはり運動と食事の併用が望ましいでしょう。
運動が大切なことはこれまでもお話してきておりますので、ここでは食事に焦点を当ててみたいと思います。
まず、最近の食事療法のトレンドであるアトキンスダイエットに代表されるような極端な糖質(炭水化物)の制限です。短期間で見れば確かに減量効果はありますが、糖質でなければならない理由はないようです。つまり、結果として総エネルギーが減少したので(エネルギー収支がマイナスになったので)、減量できるという当然の話です。さらに主食の長期間の制限は実施が困難といえます。
次に、興味深い成績として短期間に同じエネルギー量で糖質と脂肪の比率を変えた時の血清脂質に及ぼす影響の結果を見てみると、高糖質低脂肪の食事で中性脂肪(トリグリセリド)が上昇し、HDLコレステロールが低下したのに対し、オリーブ油などの不飽和単価脂肪酸(MUFA)を多く含む、高脂肪低糖質のほうが良い結果を示したそうです。さらに後者では糖質が少ない分、食後血糖や血中インスリン値の低下も報告されているそうです。ただし、同じエネルギー量なので体重減少に差はないとのことです。
しかし実際には長期間の自由摂食のもとでは高糖質低脂肪が体重減少をもたらし、前述のように、体重減少に伴って中性脂肪(トリグリセリド)、HDLコレステロール、インスリン感受性の悪化は観察されなくなるというものです。
この結果から、長期の減量維持には低脂肪食が優れているようです。この理由として、エネルギー密度(kcal/g)という食欲の満足度に関連する因子があることがわかってきました。エネルギー密度が高いものはかさの割りにエネルギーが高いもの、つまり油です。逆に低いものは野菜や、パスタなどが挙げられます。腹持ち具合を考えた場合、エネルギー密度が高いほうが胃から排出される速度は低下しますが、速度は密度の上昇に伴って低下しないため、一定時間に排出されるエネルギー量は密度の低いものよりも高いものが大きくなります。よって密度が高いものは満腹感を得にくく、結果として多くのエネルギーを摂取してしまいます。 このエネルギー密度は主に脂肪と水の含有量で規定されます。ただし、食品に含まれない後から飲んだ水は効果がないことが示されています。
このほか、可溶性の食物繊維は胃からの食物の排出時間を延長し、野菜・果物は脂肪の含有量が少なく水分を多く含むので密度が低いことや、砂糖入り飲料などの液体は短時間で摂取され満腹感を得にくいなどがいわれています。
参考資料:ACSM CECセミナー『スポーツ医学における食事療法のEBM』より抜粋