マスターコーチが教えるガイドライン
 
NSCAジャパンマスターコーチ(旧名称:認定検定員)としてトレーニングのガイドラインを説明致します。
 
主なトレーニング種目の正しいフォームをNSCAのガイドラインに従って説明したいと思います。
 
バーベルショルダープレス
 
トレーニング部位 三角筋前部、三角筋中部、僧帽筋、上腕三頭筋
 
●スクワットスタンドやパワーラックのラックの高さを腋下(わきの下)の高さにセットします。
●プロネイテッドのクローズドグリップでバーの中心より左右対称に肩幅よりやや広めで握ります。
●バーベルラックから外し、数歩後ろに下がります。
●バーベルは鎖骨か三角筋前部に位置させます。
●腰幅でスタンスを取り、膝をわずかに曲げます。
●胸を張って肩甲骨を寄せて背中のアーチはまっすぐに保ちます。
●肘は常にバーベルの真下に位置するようにします。
●背中をまっすぐ伸ばし(反らさない)、足裏全体が地面についている状態を保ちます。(写真1)
●バーベルが鼻や額に当たらないよう、バーベルが額の前を通過するときは首を軽く後ろに反らします。(写真2)
●肘が完全に進展するまで押し上げます。バーベルは頭の真上まで上げます。(写真3)
 
 
 
 写真1)
写真2)
写真3)             写真4)               写真5)
●適切なフォーム(写真3)
 
●膝が伸び切り腰背部アーチが大きな不適切なフォーム(写真4)
【※肩の柔軟性があるのに過度に腰が反ってしまう場合は、股関節屈曲筋群である腸腰筋や大腿直筋のストレッチをマメに行い、かつ腹筋下部と股関節伸展筋群である臀部筋群のエクササイズを行っていくと改善できると思われます。)
 
●バーを前方に挙げている不適切なフォーム(写真5)
 【※肩の屈曲制限がある場合、適切なフォームに近づけていくために肩甲骨の上方回旋を制限する可能性のある広背筋、大円筋のストレッチ、及び大胸筋のストレッチをマメに行ってみると改善できると思われます。】
 
 
ベントオーバーロウ
 
トレーニング部位 広背筋、大円筋、僧帽筋中部、菱形筋
 
●プロネイテッドのクローズドグリップでバーの中心より左右対称に肩幅よりやや広めで握ります。
●ラックがない場合は、床からデッドリフトの動作でバーベルを持ち上げ、一度完全に直立します。(写真1)
写真1)
 
●肩幅~腰幅でスタンスを取り、膝をわずかに曲げます。(写真2)
写真2)
 
●膝の屈曲を保ったまま、体幹を床と並行よりわずかに上の位置(10~30度)まで前傾させます。(写真3) (2007.10 Vol14 No.8より)
●このとき肩甲骨を後ろに引き、胸を張ります。背中がまっすぐになるようにして、視線はつま先のやや前方に向けます。まっすぐ前をみようとしてはいけません。
 
写真3)
 
胸の下部(腹上部)に向かってバーベルを引きます。(写真4)(2007.10 Vol14 No.8より)
●手首を伸ばしたままで、両方の肘は身体から離すようにします。バーベルの軌道が弧を描かないようにします。
●背中をまっすぐに、体幹の姿勢を保持します。足裏全体を床に接地させ、膝の角度を保ちます。挙上を補おうとして体幹を動かしてはいけません。
 
【※背中をまっすぐに保持できない場合は、脊柱起立筋、僧帽筋中部下部の筋持久力が不足しているかもしれません。
骨盤の前傾やニュートラルが維持できない場合は腸腰筋の筋力不足や臀部筋群、ハムストリングスの柔軟性が不足しているかもしれません。】
 
●不自然に上に引き過ぎです。(写真5)
写真4)                      写真5)
 
●背中が丸まっていて不適切なフォーム(写真6)
●上体を立てすぎている不適切なフォーム(写真7)
 
写真6)                       写真7)
 
●手首を屈曲していて不適切なフォーム(写真8)
写真8)
 
●セット終了後は、デッドリフト動作でバーベルを床に下ろします。
 
 
フォワードランジ
 
トレーニング部位 大殿筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、腸腰筋、下腿三頭筋
 
●スクワットスタンドやパワーラックのラックの高さを腋下(わきの下)の高さにセットします。
➡疲労した状態でも安全にラックイン・アウトするためです。
●プロネイテッドのクローズドグリップでバーの中心より左右対称に肩幅より若干広い位置でバーを握ります。
●バーを上背部中央(僧帽筋上部)、首の付け根(第7頸椎にかからないよう)適切なハイバーポジション取ります。
●ラックアウトの際には、スプリットスタンスではなく、スクワット同様、股関節と足部をバーの真下に位置させます。
●ランジ移動のスペース分(1~2歩)後ろに下がります。
●つま先を前方、スタンスは腰幅に開き、直立し肩を後ろに引いて胸を張ります。(写真1)
 
写真1)スタートポジション
 
●片足を大きくまっすぐ前方に踏み足裏全体を接地させます。(写真2)
●前額面(正面から見たとき)で足関節、膝関節、股関節が1つの面上に来るようにしバランスを保ちます。
 
【※このとき、前方に踏み出した足のつま先が外側に向く(アウト)場合、足裏の3点アーチの崩れがあるかもしれません。
次に、膝関節が内側(イン)に入る場合は内側広筋の弱化が原因かもしれません。
最後に股関節が外側(アウト)に出てしまう場合は股関節外転筋である中殿筋の弱化が原因かもしれません。➡ニーイン、トゥーアウト】
 
●前後の脚の加重割合は50:50、体幹を直立に保ち視線を正面に向けます。
●踏み出し足の膝が90度、下腿が床と垂直で後ろ足の膝が床から3~5cmのところまで沈み込みます。
●踏み出した足の足裏全体で床を蹴り、スタートポジションに戻る際、1歩で戻れなければ小刻みなステップを使ってもOKです。(写真3から4) (2008.5.Vol15No.4より)
 
写真2・3・4)前方への動作からスタートポジションへ戻る
 
●NGの場合写真5・6・7)
写真5:歩幅が小さいと膝が前に出やすくなり、膝に過度の剪断力がかかります。また深さも不十分になります。
写真6:体幹が前傾し腰に過度の剪断力がかかります。前足に大きな負荷がかかります。
写真7:体幹が後傾し腰部に過度な負荷がかかります。
 
写真5・6・7)
【※写真6の場合は、大殿筋、ハムストリングスなどの股関節伸展筋群が硬いことが考えられます。写真7の場合は腸腰筋、大腿直筋など股関節屈曲筋群が硬いと考えられます。ストレッチを組み合わせると良いでしょう。】

 
【ベンチプレス】
 
マシンではなく、フリーウェイトの種目になります。トレーニング部位は大胸筋、三角筋、上腕三頭筋です。

左が正しいフォーム、右がNGです。基本的には5ポイントコンタクト(後頭部、肩、臀部、右足、左足)が左右対称の正しい位置にあるかです。

右のフォームはベンチプレスの競技では使われますが、見ての通りブリッジしますので腰を痛めやすく危険なので重量を競う以外ではお勧めできません。安全に行うためにはNSCAのガイドラインに従うことをお勧め致します。

 

グリップ幅についてはバーを胸に下ろしていき、途中上腕が水平位になったときに肘が90度となる幅(肩幅の190~200%)にします。真ん中が正しく、左はやや狭く、右はやや広いです。

NSCAの報告によるとフィットネス愛好家の傷害予防の観点からは肩幅の150%以内で肩の外転角度を45度以内にし、胸まで下ろさず4~6cm上で止めるとしています。またこれによるトレーニング刺激は筋電図上は大きな違いはないとしています。

 

続いて胸にバーを下ろしたときの肘の位置です。バーの真下に肘が来ることで垂直方向に必要最小限の力で押し上げることが出来ますが、外旋や内旋してしまうとコントロールを失ったり肩を痛めてしまいます。

 

足の位置です。極端な足幅や足がずれていない、左右対称に腰が反らない自然な位置で行います。

左が正しい位置、真ん中が広い、右が左右対称でない。

 
 
【バックスクワット】

バーの高さは腋下の高さにラックをセットします。高すぎても低すぎても安全に出し入れできません。バーの中心から左右均等に肩幅よりやや広めにプロネイテッドのクローズドグリップで握ります。そしてバーの真下に入りラックアウトします。右の写真はグリップ幅が広すぎて肩甲骨の内転が保てません。

1~2歩後ろに下がり、足を肩幅~肩幅よりやや広めに左右均等を確認します。左と真ん中は許容範囲、右はやや狭く、パラレルの深さまでしゃがむと腰や膝に過大な負担がかかります。

バーを担いでしっかりと胸を張ります(チェストアップ)。右はNGです。

スクワットとはかがむ、しゃがむという意味です。ではそのしゃがんだポジションでの注意点です。

左が正しいフォーム。右は背中が丸まっていますので脊柱に過大な負担がかかります。

膝は足と同じ方向に向けます。内側にしぼったり(左)外側に逃がしたり(真ん中)、左右不均等(右)はNGです。

そして横(矢状面)から見たときに膝がつま先より極端に出ないようにし(左)、また身体がねじれないように(回旋)(真ん中)注意します。

立ち上がる際には腰から上がらないように(右)上体の角度を保ちます。

実際の150kgでのスクワットはこんな感じです。m(__)m
ではいよいよトレーニング上級者向きの種目、ハングクリーンです。
 
【ハングクリーン】

一連の流れを写真で示します。

床から適切なデッドリフトでバーを持ち上げ、膝上から始めます(左の写真は膝下)。上体を起こしていき、パワーポジション(真ん中)で爆発的に床を蹴り上方向への力(床反力)を生み出します。その力をバーへ完全に伝えるためにフルエクステンション(足、膝、股関節の伸展:写真右)します。

そして肘を曲げ、バーを真っすぐ引き上げます(左)。すばやく下にもぐりこみクォータースクワット(股関節30°程度)でキャッチします。そして膝を伸ばしてフィニッシュです。

写真(左)のセカンドプルと呼ばれる局面ですが、確かにプル(引く)のですが、どちらかというと”腕で引く”のではなく床反力で上がってくるバーの軌道を邪魔しないようにコントロールすると言った方が正しいでしょう。

この種目は習得に時間がかかりますが、様々な要素が含まれているために一度習得してしまえばこの種目のトレーニングだけで短時間でトレーニングを終えることも出来ます。

さて、次は注意点です。

グリップはプロネイテッド(順手)のクローズドグリップ(左)かフックグリップ(真ん中)が推奨されています。オープングリップ(左)は外れてしまう可能性もありNGです。

床から持ち上げる時に背中が丸い(左)、スタートポジションで胸が張られていない(真ん中)、セカンドプルで前方にあおってリバースカールのように持ち上げる(右)はNGです。

さらに、キャッチスタンスが広すぎたり(左)、バーが大転子より後ろでのキャッチ(右)は危険ですのでNGです。
 
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